* ぎょしゃ座矮新星2013 *
VSOLJニュースより(297)
著者:大島誠人さん(京大理) ぎょしゃ座の矮新星2013 矮新星は、名前こそ新星に似ていますが現象としてはやや異なったものです。どちらも白色矮星を含んだ近接連星系(ひじょうに近い距離でお互いをまわりあう複数の恒星)で起こるという点は共通していますが、新星爆発は白色矮星表面に降り積もった物質が核暴走を示すことで起こる現象であるのに対し、矮新星増光は白色矮星のまわりに形成された円盤の物質が内側へと落ち込むことで起こる現象です。 矮新星は現在数百個ほど知られていますが、その増光を示す頻度はまちまちで、中にはひじょうにまれにしか増光を示さない系もあり、そのためまだまだ新発見される矮新星もあります。 このたび、日本の捜索家の方によって、新たな矮新星が発見されました。発見したのは静岡県の金子静夫さんで、4月3.445日(世界時、以下同)にデジタルカメラを用いた捜索中、ぎょしゃ座に12.0等(U等級)の新天体を発見しました。 その後フィンランドのA. Oksanen氏により11.8等(V等級)で確認観測されました。モスクワ大学シュテルンベルク天文研究所のD. Denisenko氏によれば、3月31.752日に撮られた画像ではまだ増光していなかったとのことです。 正確な位置は以下のとおりです。 赤経 06時27分03.75秒 赤緯 +39度52分50.4 秒(2000.0年分点) ぎょしゃ座の矮新星の周辺星図 静穏時の天体が20等級の青い天体に同定されると思われることから、増光幅(8等)から振幅が大きい矮新星である可能性が疑われました。Oksanen氏のその後の測光観測により、周期85分、振幅0.05等のふたやま状の周期変動が観測されています。このことから、この天体が矮新星の中でもとくに軌道周期が短く増光頻度のまれな「や座WZ型矮新星」であることが判明しました。観測されたふたやま状の変動は、このタイプの矮新星の増光の初期に観測される「早期スーパーハンプ」と呼ばれる現象であると考えられます。 この天体は今後も1〜2週間、明るい状態が続くと考えられ、その後減光すると思われます。類似の天体では減光後に再増光を繰り返す系もあることが知られていることから、その観点からも注目されます。 |
2013年04月15日